先日、クラウドソーシングでずっと狙っていた案件を受注することができました。それが「テープ起こし・文字起こし」のお仕事です。
これまでライティングやタスク作業を中心にやってきたのですが、前々から「テープ起こし」には興味がありました。なぜなら「数あるプロジェクト案件のなかでも、未経験でもできそうだから」というのが理由です。そのうえ報酬もそれなりにお高いとなれば狙わない理由がありません。
とはいえ、同じように考えている人はやはり多く、プロジェクト案件のなかでも「テープ起こし」はかなりの人気案件です。テープ起こしを専門にやっている経験豊富なプロも多いため、実績のない身ではなかなか受注することができませんでした。
しかし先日、クラウドワークスでようやく最初の案件を受注することに成功!そして先日、無事に納品することができました。ということで、今回は実際に「テープ起こし」をやってみて分かったこと、気がついたことなどをまとめてみようと思います。
登場人物の人数確認は必須!
基本的にテープ起こしはクライアントから送られてきた録音データを聞きながら様式的に文字に起こしていくのですが、まず最初にぶつかったのが登場人物たちの声の聞き分けです。
私が受けた案件では3人の男性が登場人数でした。私自身、初めて感じたのですが、20代~50代ぐらいの男性の声を録音のみで聞き分けるというのは思いのほか大変です。それもまったく面識の無い人物たちですから尚のこと。
これでも大学時代にはゼミや講義などをICレコーダーで録音して、それをもとに資料を作ったりしていたので自信はありました。ただ、その時は全員が顔見知りでしたし、講義のように一人が延々と話している内容を文字に起こすのとは難易度が違いましたね。
ですので、まずは顔も知らない面識も無い人物たちの声を聞き分けることから始まります。2人ならまだいいのですが、これが3人、4人ともなるとかなりの手間。
加えて、会話が盛り上がるシーンになると声がかぶったりするのでますます分からなくなります。そのたびに「巻き戻して聞きなおす」という行為を何度もすることになるので必然的に時間が掛かります。
初めて「テープ起こし・文字起こし」をする場合、録音時間が重要だと思ってしまいがちですが、個人的にはそれ以上に登場人物の人数が重要だと強く感じました。
ですので、仮に録音時間が同じでも、登場人物の人数次第で作業時間にかなりの差が出ると考えた方がいいでしょう。
他にも、音質の良し悪しなど受注してからでないと分からないこともありますが、こればかりは運次第。幸いにも今回受けた案件は音質が良好だったので助かりました。これで音質が悪かったらお手上げだったかもしれません。
同音異語に注意!
同音異語のように、同じ発音でも「文字に起こすと異なる意味の漢字」があります。
例えば、「強いイシが必要で~」という言葉を文字に起こした時、カタカナ部分の漢字を「意志」と「意思」で間違えたりします。
「いや、そんなもん間違えるか」と思われるかもしれませんが、長時間、音声を聞きながら文字を打っていると集中力が切れてきて、あとで推敲してみるととんでもない間違いをしていることが多々あります。
何時間ひたすらタイプしていると機械にでもなったかのような気分になりますが、終わってみれば私のブログのように誤字脱字だらけ。機械のようにはいきません。推敲の大切さを痛感しました。
「ケバ取り」の判断が難しい
なんだか業界用語っぽいですが、「ケバ取り」とは話し言葉のなかに生じる「えー」とか「あー」といった不用語を省くことを言います。簡単そうに感じられますが、これが結構やっかいな作業でした。
「自分だったらこれは要らないな」と思うような箇所でも、人様からお仕事として請け負っている以上、勝手な判断はできません。「あー」とか「えー」といったあからさまなケバはともかく、微妙な相槌や言葉の重複など、どこまで省くべきか、修正するべきかで地味に悩みました。
ただ、これに関しては調べるとネット上に一般的な基準や模範例は出てきます。しかしネットの模範通りにやってもクライアントが納得するとは限りませんし、作業を終えてから修正を要求されるのも嫌だったので私は気になる箇所はクライアントに何度も(しつこく)質問することにしました。
この素人丸出し感が相手にどういう印象を与えたかは分かりませんが、実際、素人ですので仕方ありません。ひょっとしたら「面倒くさい奴」と思われたかもしれません。ただ作業時間が増えればそれだけ時給も減るので、事前によく確認をして余計な作業を減らす努力は必要だと思います。
このあたりの判断は経験豊富なプロたちはもっとスタイリッシュにやるのでしょうね。
報酬と実働時間について
さて肝心なお金の話ですが、多少フェイクは入れているものの条件と報酬は概ね以下の通り。
私が受注した案件の概要
時間は約60分、登場人物は3名。
会話は対談形式でケバ取りを希望。
納期は受注した時点で1日半。
報酬は6,000円~10,000円の提示で、最低額の6,000円にて交渉成立。
上記条件にて受注しました。その結果、60分の音声データを文字に起こすのに8時間ほどかかりました。時給に換算すると750円ほどになります。クライアントとのやり取りなどを含めると実働時間はもう少し多いかもしれません。
慣れていないことを考慮しても、まぁ田舎のコンビニの時給ぐらいでしょうか。
経験を積んだ人であればもっと早く仕上げて時給1,000円はいくと思いますし、この時給であれば最近のクラウドソーシングの単価の安さを思えば「なかなか良い案件」だと言えます。少なくとも経験の無い(浅い)初心者がこなせる案件としては高額な部類に入ることは間違いありません。
まとめ
内容にもよりますが、一般的には「(日本語の)テープ起こし・文字起こし」は仕事の難易度としてはそれほど難しいものではありません。問題は集中力とストレスです。
ただ、ただひたすらPCに向かって作業することになります。
要領を得たら、あとはひたすら文字に起こす単純作業と修正作業。しかも他の案件とは違い、耳を使うので「音楽を聞きながら作業する」といったこともできません。
というか基本、ながら作業はできないと考えた方がいいでしょう。声を正確に聞きとらなくてはならないので、外でのノマドも難しいと思います。初心者は丸一日パソコンの前から離れられない覚悟が必要です。正直言って、かなり大変でした。
そういったことを踏まえると、未経験でもできる在宅仕事としては報酬が高いのも頷けます。ただ、同じような案件でも報酬額がピンキリだったり、条件によってキツさが全然違ったりするので注意は必要です。
今回はクラウドワークスで受注したものでしたが、「テープ起こし・文字起こし」は在宅ワークの定番ですので、多くのクラウドソーシングサイトで募集があると思います。倍率が高いので最初は受注するのが難しいかもしれませんが、興味のある方は積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ちなみに「またやりたいか?」と聞かれたら個人的には「もう当分はいいかな…」という心境です。この手の案件を専門に抱えている人たちの凄さが身に沁みた経験でした。
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