名古屋の地下街と言えば、県外の人たちからは「迷路」「複雑」といったイメージを持たれているようですが、実際のところ、名古屋の人間でも大きな地下街などでは道を間違えることはしょっちゅうです。

そして、そんな地下が栄える名古屋には一風変わった地下街というものが存在します。それが名古屋市中区にある「伏見地下街」。

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「伏見地下街」は、1957年に名古屋市中区に開業した名古屋で2番目に古い地下街。地上では商業ビルが建ち並ぶ都会にありながら、今でも当時の面影を色濃く残した名古屋のディープスポットです。

そして近年では、「あいちトリエンナーレ2013」という愛知発の国際芸術祭によって、伏見地下街はアートのある地下街へと変わりました。この特徴的な入口はそれによるもの。目立つようになったので、入口の場所も分かりやすくなりました。

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地下街は昔ながらのお店が軒を並べていながら通路側にはアート作品が描かれていて、一見アンバランスに思われるかもしれませんが、これが歩いてみると馴染んでいるから不思議です。

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アート作品のビューポイントも用意されています。

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ビューポイントから作品を眺めてみると、途端に立体的になります。眼で見てもかなり立体的でしたが、こうして写真で見ると立体感がさらに増します。ここに人をいれて撮ると面白い写真になりそうですが生憎一人。痛い人にはなりたくないので自撮りは自重します。 ちなみに、これらの作品は台湾の設計事務所によるものだそう。

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すべて絵かと思いきや、所々本物のスリッパなども使っていて芸が細かい。「市民の生活空間にアートを進出させる」というコンセプトとのことですが、面白い取り組みだと思います。

さて、アートを楽しんだあとは、お店の方へ目を向けてみるとしましょう。全長240mある伏見地下街には、興味を惹かれるお店がたくさん並んでいます。

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ここではドラッグストアもレトロ。チェーン店のように品数と価格で勝負するのではなく、常連さん相手の商売なのでしょう。 ここだけを見ると、名古屋の一等地の地下とは思えません。

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こちらは歴史が感じられる喫茶店「伏見珈琲館」さん。ここの通りでは、こういった喫茶店が他にも何店舗かあります。こういう昔ながらの喫茶店も地上では減ってきていますが、地下ではまだまだ現役のようです。

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マッサージ店さんの広告も独特。一瞬、これもアート作品かと思いましたが、足裏のどこを押すとどこに効果があるかを描かれているようです。なるほど、これを見るに私は親指を刺激した方が良さそうです。

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そして何一つ分からなかったのが、こちらの「手織物語」という青いスペース。なかには椅子と机、色とりどりの像があるのみ。無人でお店という感じではなさそうですが、これも芸術活動の一環なのでしょうか。

といった具合に個性的なお店が多く、レトロとアートが混在した名古屋のディープ・スポットとなっています。栄地下街や名駅地下街といった大きな地下街と比べると、人通りも少なく、どことなく暗い感じがする「伏見地下街」ではありますが、その異質さは歩いているだけで楽しめます。

「伏見地下街」へのアクセスは地上からは錦通り・長者町通りにある地下入口。地下からは地下鉄東山線伏見駅と繋がっています。アクセスも良好ですので、皆さんも栄などに遊びに行くついでに寄ってみてはいかがでしょうか。

他にも面白い地下街を歩く機会があればまたご紹介したいと思います。