北海道登別市にある「登別温泉」と言えば、日本でも有数の温泉地として全国的にも名が知られています。

温泉街としての規模も大きく、数多くの旅館やホテルが立ち並んでいるのと同時に、観光地が集中しているため短時間で多くの場所を観光することができるスポットでもあります。

ちなみに、「のぼりべつ」という地名はアイヌ語の「ヌプル・ペツ」(水色の濃い川)からきているそうで、大昔のアイヌの人々も薬湯として利用していたのだとか。そんな由緒ある温泉街へ入っていくと、まず鼻をつく硫黄の匂いと、もくもくと湯気が立ちのぼっている公園が目に入ってきます。

それが登別温泉街中心にあるプチ観光地、「登別温泉 泉源公園」。

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湯気が立ち昇っていなければ通り過ぎてしまうぐらい地味な場所ですが、ここはパワースポットになっているのだとか。ここに立っている九つの金棒は「湯鬼神金棒」といって、金棒の色ごとにご利益があるそうです。

例えば写真に写っている金棒の場合、左から順に「大願成就」、「子孫繁栄」、「家庭円満」に効果があるとか。

ざっと見た感じでは「家庭円満」と「無病息災」にかかっている絵馬が多かったですね。確かに家庭が円満で体が健康だったら大抵のことは何とかなるかもしれません。かなり合理的なお願いとも言えます。

泉源公園を後にして温泉街をさらに奥へと歩いていくと、そこにあるのは登別の有名観光地「地獄谷」。

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これだけ近いと硫黄の匂いも相当きついです。そして、なぜか観光客は外国人だらけ。

北海道に来てからあまり外国人観光客を目にしなかったのですが、地獄谷はなぜか多かったですね。比率的には、「日本人2割:外国人8割」というぐらい。

そして、そのほとんどがお隣の国の方々(主に中国系)。

「登別温泉」と言えば確かに有名ですが、どことなく寂れてきている感は否めません。ここだけに限った話ではないのでしょうが、そういった温泉街を外国人観光客が落としていくマネーが支えているというのは紛れもない事実なのかもしれません。

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鼻をつく刺激臭、硫化水素によって変色した岩肌と吹き出し口から立ちのぼるガス。これが地獄だと言われれば、たしかに納得できるくらい禍々しさを感じる場所です。

そして遊歩道の先では多くの人が何かを覗きこんでいました。

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地獄谷の間欠泉です。

地下から源泉が湧き上がってくる様子が見られます。地獄谷のほぼ中央にあり、数十秒ごとに湧いたり、引いたりを繰り返しています。温度は約80℃。よほど身を乗り出さない限りそこまで熱さは感じませんが、手を触れれば間違いなく火傷する温度。

地獄谷は登別温泉最大の源泉エリアなので昨日旅館で入った温泉もここの源泉を利用したものでしょう。

乳白色で硫黄の匂いがする硫黄泉は血行をよくする効果が高く、解毒作用もあるのだとか。不摂生な生活で体に溜まりまくった毒素たちもきっと解毒してくれたことでしょう。

心はともかく、せめて体ぐらいは綺麗でいたいものです。

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そして地獄谷をさらに奥へと行くと「大湯沼」という爆裂火口跡にできた周囲1kmにも及ぶひょうたん型の沼を目にすることができます。こちらも迫力ある後景が見られるので、時間に余裕があればぜひ立ち寄られることをお勧めします。

さて、地獄谷・大湯沼を後にして、最後に訪れたのはこれまた登別温泉内にある「のぼりべつクマ牧場」。

「クマ牧場?お子様の行くところじゃないか」と思われる方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。

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麓で入園料を支払い、ロープウェイで標高550mの山頂へ。クマ牧場が山頂にあるのは、標高が高い方がクマの飼育に向いているのか、それとも脱走した時のために人里から離しているのか、どうなんでしょうね。

何にせよロープウェイに乗るなんて久しぶりだったので、これだけで少しテンションが上がります。

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ロープウェイを降りると最初に出迎えてくれるのがこちらの小熊たち。

「これが小熊?」という感じですが、こう見えてまだ生後4ヶ月~6ヶ月ほどだそう。言われてみれば幼くも見えますが、言われなければ気がつかないレベルにはもう十分迫力が備わっています。

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飼育員さんの話しによると、エサの取り合いでよく喧嘩するそう。そして、その様子には微笑ましい雰囲気はまったくありません。正直、はたから見ると殺し合いをしてるようにしか…鳴き声もかなりの低音ボイス。例えるなら、“おじさんの嗚咽”ですかね。

うん、やっぱりクマは猛獣なんだなぁと思わせてくれます。

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クマから離れ、遠くに目を向ければ「クッタラ湖」を眺めることができます。山の上なので、眺めは最高。もう少し天気が良ければ尚のこと良かったんですけどね。

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外には本物のクマが、館内にはリアルな熊の剥製が飾られています。

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また、クマだけではなくアイヌ民族の文化を展示する施設もあります。というのも、その昔エゾヒグマはアイヌ民族に「カムイ(神)」として崇められていたそうで、エゾヒグマとアイヌには密接な関係があったと言います。

ただ、そのエゾヒグマは年々減ってきており、現在北海道には約2000頭ほどが生息し、そのうち86頭のエゾヒグマがここで飼育されているそうです。

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失われつつあるアイヌの文化遺産を目にすることができます。アイヌが使っていたとされる道具などを見てみると、生活の知恵を感じさせるものがとても多く、その創造力の高さに驚かされます。実にクリエイティブ。

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そして最後は大人のヒグマたちがいる檻を見学。

「餌をあげられる」というので200円のクマ用お菓子を買ってみることに。それにしても200円の菓子とは贅沢なものです。実際、私が普段食べている菓子よりも高いですよ。

どれどれ、大迫力のクマ達を拝もうではありませんか。

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ん・・・?

何でしょう、このゆるっとした雰囲気。

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その佇まいは、居間でテレビを見ながら寝転がっているオジサンそのもの。

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しかし餌を見せるとサッと手を振ってくれるこのサービス精神!

完全に適応している…。

クマ達も「野生?なにそれ?」という感じです。それもそのはず、先ほどの小熊のようにここで生まれてここで育ったクマ達も多く、年齢も20~30歳と私より年上のクマもたくさんいます。長いあいだここで生活していくうちに、人間から餌を貰う処世術を覚えていったのでしょうね。

それにしてもここのクマ達はすごいですよ。餌を見せれば手を振ってくれるし、投げれば口でキャッチしてくれます。狙いを外せばカラスに横取りされるというハプニングも楽しめます。年甲斐もなくはしゃいでしまいました。

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他にも、「ヒトのオリ」なんていう物騒な名前の場所もあります。すでに社会の檻に囚われている私としては、これ以上は勘弁して欲しいところなのですが好奇心には勝てません。中へと入っていきます。

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なるほど、ここは(人の)檻の中からクマ達に餌をやることができるようになっているよう。穴から餌を入れて、バーを押し出して外にいるクマに餌をやるというシステム。

上手いこと考えてますね。これなら真近で餌を食べるクマを安全に観察することができます。

ただクマ達はこのシステムに慣れきっているのか事務作業のように淡々と餌を食べてしまうのが少し淋しいところです。そういう意味では、個人的には投げる方が楽しめました。


ということで、登別温泉の観光名所を立て続けに4か所周りましたが、すべて周ったうえでの所要時間は4時間といった所。すべて歩いていける距離にあるので駐車料金を取られたくないという人は歩いて周ることをオススメします。

正直なところ、登別温泉と言えども今では若干寂れた印象を感じさせる部分はあります。ただ、それでも風情は十分に感じられますし、温泉はもちろん料理、観光なども含めてとても良い所でした。

個人的には、「ここは温泉ぐらいだろう」と思っていた部分もあったので良い意味で期待を裏切られた場所でしたね。北海道で温泉も観光も楽しみたい、という方には是非おすすめしたい観光地です。

登別駅や海の方まで足をのばせば他にも見るところはたくさんありそうなので、周辺まで含めて観光しようと思ったら丸1日は必要かもしれませんね。