皆さんは『ダンボー』というキャラクターをご存じでしょうか。
ダンボーとは、あずまきよひこ氏の漫画「よつばと」に登場する段ボール製のキャラクターです。その愛くるしい外見から多くの人々を魅了してきました。そして今尚、魅了し続けています。なかにはダンボーを連れて旅行に行くという人まで出てきているとか。
そんなダンボーに私も一時期ハマっていました。最近、久しぶりに「よつばと」を読み返してみたのですが、「ダンボー」って作中に2回しか出てきてないんですね。それでいて主役級の人気をみせていると言うのですから驚きです。
それにしても「ダンボー」の一体何が私たちをそれほどまでに惹きつけるのでしょうか。
「単純」さのなかにあるインパクト
ダンボーは単純なのに、一目で惹きつけられるものがありますよね。
凝った造りでもなく、むしろ手抜き感すら漂うデザイン。国民的キャラクターの「ドラえもん」や「アンパンマン」などもわりかし簡単な顔をしていますが、それでも何も見ずに書けと言われたら正確に書ける人はなかなかいらっしゃらないのではないでしょうか。
その点、『ダンボー』は実に簡単です。□を書いて、そのなかに●を2つと▲を1つ書くだけ。
ほら、この通り。絵心の無い私でもすぐに書けてしまいます。これがすごい。
単純すぎるほど単純なのに魅力的で記憶に残りやすい、こんなキャラクターは世界広しと言えどなかなかいません。
大人が羞恥心を感じにくいデザイン
大人になっても「ドラえもん」や「アンパンマン」といったキャラクター好きという方も少なくはないでしょう。しかし大人になってその手のキャラクターグッズを身に着けるとなるとどうでしょう?
例えば小さなストラップでも“恥ずかしい”と感じる人が多いのではないでしょうか。
なぜなら“子供っぽい”からです。
ところがダンボーの場合、そういう感情が沸きにくいと思いませんか?
「なんだこれ?」とはなっても、「子供っぽい」とは思われない。可愛いけれど、子供っぽくはない。そこがダンボーが大人を惹きつける魅力のひとつなのかもしれません。
段ボールという親近感
ダンボーは見ての通り、全身がもろに段ボールです。そのへんに転がっている段ボールの側面に●と▲をちゃちゃっと書けば、それはもう「ダンボー」なのです。
ダンボーという存在を知ると、段ボールだけでダンボーを連想することができるようになります。
また、Amazonとコラボしたのも得策でしたね。最近はそうでもありませんが、一昔前のAmazonといえば「やたらと大きい段ボールで送ってくる」という印象がありました。Amazonといえば段ボール、段ボールといえばダンボーという連想を生み出すことができたのではないでしょうか。
私の持っているフィギュアもAmazonバージョンなのですが、見慣れ過ぎてAmazonの箱とダンボーが結びつくようになってしまいました。
今ではモバイルバッテリーやスマホケース、USBケーブルに充電池とあらゆるものとコラボしているダンボーですが、その原点はやはり身近にある段ボールなのです。
ダンボーは特に実用性のあるものではありません。そばに置いておくだけでいい、手元にあるだけでいい、そういう感覚とでも言うのでしょうか。
大人というのは大人というだけで疲れる生き物です。ダンボーのようなシンプルでほどよいユルさ、親近感と癒しをもたらしてくれる存在をどこかで欲しているのかもしれませんね。