日帰り岐阜旅行ーアクア・トト岐阜と長良川鵜飼いー岐阜市周辺をお手軽に観光(前編)

アクア・トト岐阜からJR岐阜駅に戻った私たちは、そこでふと気がつきました。

「そういえば鵜飼いって、予約とか要らないのだろうか?」 

ぎふ長良川鵜飼いは5月11日~10月15日にかけて開催されていますが、鵜飼いは1日に1回しか実施されません。そうなると当然、船の数も乗船人数も限られています。行き当たりばったりも甚だしい話ですが、この時まで現地に行って券を買えば、当然乗れるものだと思っていました。電車とは訳が違いますね。

ぎふ長良川鵜飼いのサイトを確認すると、きちんと予約ができるようになっています。しかし、当日の予約状況は表示されていませんでした。ダメ元で電話を入れてみることに。
   私 「今日なんですけど、乗合船大人2人空いてますか?」
鵜飼いの人「今日・・・ですか?少々お待ちください」
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鵜飼いの人「はい、大丈夫です。」
平日で良かった。計画性って大事ですね。

鵜飼いに行かれるという方は、前日までに予約されることを強くオススメします。もし岐阜市内で宿泊されるのであれば、長良川鵜飼いのパックプランがついているホテルなどを選ばれると確実かもしれません。

こうして電話で無事、当日予約を済ませた私たちは、バスで長良川まで向かうことに。長良橋停留所で下車すると、すぐ目の前に「鵜飼い観覧船事務所」はありました。

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川べりに建つ情緒ある建物、こちらで乗船券を購入します。

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乗合船は、“18時15分から乗るAコース”と“18時45分・19時15分から乗るBコース”があり、コースによって料金が違ってきます。早い時間のAコースの方が少しお高いので、私たちは安い方のBコースの18時45分に乗ることにしました。

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そんな私たちが乗ったのが、緑の屋根の屋形船「迎鳳丸」。

ちなみに、船頭さんの話しによると、この屋形船は皇太子殿下がお乗りになった船だそう。そんな名誉な船に果たしてニートが乗っていいものでしょうか。

屋形船に全員が乗り込んだのを確認次第、出船します。船頭さんと船員さんの3人で、竹竿のようなものを使い、船を観覧ポイントまで移動させていきます。「なんだか川が浅いな」と思っていると、今年はあまり雨が降らない影響で相当浅くなっているとのこと、こういう日はあまり鮎が取れないそうです。

観覧ポイントの川岸まで移動すると、鵜飼いが始まるまで食事タイム。周りを見渡すとそれはもう豪華なお弁当を広げている方ばかり。あ、旅館で作って貰ったんですか、そうですか。

とはいえ、私も負けていません。

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自前のニート御前(コンビニ弁当)を意気揚々と広げて、速攻でで食べ終えます。そして川辺を眺めながらぼーっとしていると、向かい側に座っていた外国人に声を掛けられました。

外国人「Excuse me. Could you take my picture?」 (すいません、写真を撮って貰えませんか?)

詳しい言い回しは覚えていませんが、こんな感じだったと思います。日本語すら危なっかしいというのに英語なんか話せる訳がありません。

私「イ、イエス。オーケーオーケー。」

と適当に相槌を打ち、笑顔で写真を撮ってあげます。こういう時は笑顔です、笑顔で乗り切ります。しかしそれが裏目に出ました。この外国人、フレンドリーにものすごい話しかけてきます。ただネイティブ過ぎてさっぱり分からない。困り果てて隣の友人に目配せ。

そこにはまるで他人のような遠い目をしておにぎりを食べている友人が居ました。

…おい。

そろそろGoogle先生の翻訳にでも助けてもらおうかと思った矢先、外国人の隣にいらっしゃったロマンスグレーの紳士が流暢な英語で外国人に話しかけました。会話の矛先は完全に紳士へ。

これができる男というやつですか。

「やばいわー、言ってる意味半分ぐらいしか分からんかったわー」と、おにぎりを食ってた人が隣でなにか言っていますが誰なんでしょうね。人間、ピンチになると本性が出るものです。

そんなこんなで時刻は19時45分、鵜飼い開始の花火が4発上がります。上流から鵜匠が乗った船6隻が続々と下ってきます。乗合船1隻に鵜船1隻が並走する形で、鵜が鮎を捕える様子を近くで見ることができる「狩り下り」が始まります。

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あっという間でした。これだけ離れていても篝火の熱気が伝わってきます。鵜匠の手さばきが素早いので、鵜が魚を吐き出している場面は本当に一瞬です。

鵜匠が1人で10~12本の手綱を同時に操り、鵜が魚を飲みこむと手繰り寄せて吐かせる。この一連の素早い流れ、まさに匠の技です。

ちなみに、宮内庁に属す宮内庁式部職鵜匠は岐阜市には6人おり、全て世襲制で長男しか継げません。船頭さんの話しでは、東大を出たのに鵜匠を継ぐことが決まっていたり、跡継ぎの男児が生まれるまで7人も8人も頑張ったりと本当に大変な世界なんだとか。

跡継ぎは幼いころから船に乗って父親の仕事を覚えるそうです。鵜匠は鵜の世話をしなければいけないので、休みもほとんど無く、旅行にも行けないのだとか。日本にもまだこういう世界が存在するんですね。

そんな話を聞かされると、ちょっと同情してしまいそうになりますがニートごときが同情するのも失礼な話です。なんせ宮内庁式部職鵜匠ですよ。重要無形民俗文化財ですよ。

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「狩り下り」が終わると、「総がらみ」が始まります。ここからが鵜飼いの本番。6隻の鵜船が横幅いっぱいに並び、鮎を浅瀬に追い込んでいきます。

「ホウホウ」というかけ声と共に、鵜船が乗合船と乗合船の間に入ってきます。浅瀬に追い込んだ鮎を鵜が呑み込んでいく様子を乗合船から真近で見ることができます。

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まさに幽玄の世界。人間って幻想的なものを目の前にすると静かになるんですね。あれだけ騒がしかった船内も最後のほうは皆、固唾を飲んで見入っていました。

20時30分、鵜飼いが終わると順番に停泊所に戻っていきます。

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各々、興奮さめやらぬ様子で下船し、本日の鵜飼いは終了。

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いやぁ贅沢な時間でした。

夜も遅いので電車で名古屋へと帰ります。そして名古屋に着くと、人の多さで現実に引き戻されます。名古屋からたった30分の場所に、これほどまでに風情を感じられる世界があったとは。良い体験をしました。

「一度は鵜飼いを観に行ってみたい」、と思っている人も多いのではないでしょうか。ぜひ一度、訪ねてみてはいかがでしょうか。幻想的な世界が待っています。