愛知県民ならば知らない人はまずいないサブカルチャーの街「大須」。ネットでは「名古屋の秋葉原」なんて言われていますが、個人的にはその表現には少し違和感を感じています。


オタク文化はともかく、秋葉原は良くも悪くも都会的、大須は下町風情といった印象。確かに大須では世界的なコスプレイベントなども開催されていますが、秋葉原を想像して大須に来られると「思っていた感じとは違う」となるのではないでしょうか。


そんな大須ですが、私にとって大須は、「暇だな=大須行くか」というぐらい大変馴染のある街なのです。行けば何か新しい発見がある、そんな飽きない街が「大須商店街」というところ。

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アクセスは、地下鉄「大須観音駅」あるいは「上前津駅」で下車してすぐ。少し距離はありますが、JR鶴舞駅からも歩いていけるぐらいです。大須は交通の便が非常に良いので観光で訪れる方にとっても便利な街です。

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いつものように「大須観音駅」で下車して、大須観音の境内を通ると、まずは大挙している鳩たちが出迎えてくれます。ここの鳩たちは大須の風景の一部で、完全に人間に舐め切って慣れきっているので、近寄るどころか危うく踏みそうになるぐらい警戒心がありません。


ハトの餌も売っているので、50円払えば誰でも鳩使いになれます。撒けばありとあらゆる場所に鳩たちを飛ばすことが可能。(これが外国人観光客には人気みたいで嬉しそうに撒いています) 

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そんな鳩たちの溜まり場を通り過ぎ、商店街の入り口へ。写真は平日の昼間なので、そこそこ空いていますが、これが休日ともなると活気あふれる賑わいを見せます。


さて、今日の大須での目的は食い歩きと散策。


ここ大須商店街では新しいお店が出来ては無くなり、無くなっては出来てを繰り返しており、来るたびに新しい発見があるので目移りしてしまいますが、大須に来るとまず私が立ち寄るお店がこちら。

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東仁王門通りに本店をもつ「李さんの台湾名物屋台」。


ここのオススメは台湾唐揚げ(500円)。辛さは4つ(なし、少し、普通、多め)から選べます。写真の唐揚げにかかっている赤いパウダーの量で辛さを調節しています。私のおすすめは「普通」です。


ここはネタのためにも冒険するべきだったかもしれませんが、あまりに辛いと唐揚げの旨味が感じられないのでいつもの「普通」を選択。ここの唐揚げは私にとって人生の数少ない楽しみの一つなのです。あしからず。


人気店で、しかも揚げたてを提供しているので少し時間は掛かりますが、熱々の唐揚げとピリ辛パウダーがよく合います。量も多くて、これだけで一食分になるぐらいのボリューム。これにビールがあれば言うことありません。


店には有名人のサインが数多く貼ってあり、多くのメディアを寄せ付けるのも納得のお味。第6回からあげグランプリの中日本・味バラエティ部門で金賞を受賞している筋金入りの名店です。本当に癖になる美味しさなので機会があれば是非食べてみてください。


さて、暑さと辛さで額に汗を浮かべながら食べ終えると、今度は甘い物が欲しくなります。5月とは思えない暑さのなか、うろうろしているとあまり縁のない単語が目に入ってきました。

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ほう、豆乳…。


仁王門通りと新天地通りが交わる通りにあった「シロさんの豆乳ドーナツ」というお店。豆乳なんていかにも健康に良さそうなものは普段一滴たりとも摂取していないので体が欲したのかもしれません。


豆乳ドーナツも魅力的でしたが、とにかく喉を潤したかったので豆乳ソフトクリーム(250円)を購入。

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見た目はごく普通のソフトクリームですが、頬張ると豆乳の健康的で素朴な甘さが口に広がります。この歳になると、ケーキやアイスのような甘い物を摂取すると健康に対して少しばかり後ろめたさのようなものを感じるようになってきましたが、これはむしろ健康的な感じがします。もちろん願望にすぎません。


普段口にしないものを食べるのも食べ歩きの楽しいところなのですが、唐揚げとソフトクリームですでに私の貧弱な胃袋は一杯。というか、暑すぎて若干夏バテっぽくなってきました。しかも今日の名古屋の気温はなんと30℃越え。


まだ5月ですよ。いよいよ地球もおかしくなってきたのかもしれません。5月に30℃なら7月、8月はどうなるんでしょうね。考えたくもありません。


そんな暑さに耐えきれなくなった私は、薄明りに集まる蛾のようにエアコンの効いているゲームセンターに入り、涼みながらクレーンゲームにいくらか募金をします。30分後、「〇〇〇円あれば色々買えたのに…」といつものように後悔の愚痴を心の中でこぼしながらそろそろ帰ろうかと歩いていると、最近では珍しいお店を見つけました。

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それが万松寺通りにある「お菓子・駄菓子ショップ お菓子のひろば」。


今時、都会のど真ん中で駄菓子屋とは珍しいですね。これも下町風情が残る大須だからこそでしょうか。


店内にある10円、20円の駄菓子を眺めていると、消えかかっていた少年の心が戻ってきます。小学生の頃に戻ったような感覚を味わいながら懐かしい駄菓子たちを物色していきます。ただ、当時と違うのは身も心も薄汚くなってしまったことでしょうか。


値段を気にせずホイホイとカゴに放り込んでいきます。お金がなくても大人買いできるのが駄菓子の良いところ。これだけ買ってもたったの200円。駄菓子で200円も使ったのなんて、小学校の遠足以来かもしれません。

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この懐かしのラインナップ。10年以上目にしていなかったものもたくさんあります。


・パチパチばくだん (口の中でパチパチ弾ける砂糖菓子)
・ヨーグル (一口サイズのヨーグルトっぽい何か)
・スクラッチお宝くじ(ソーダ味のラムネ菓子、最高100円が当たるスクラッチくじ付き)
・ヤッター!めん (ラーメンスナック菓子、最高100円が当たるくじ付き)
・まけんグミ (一口サイズのグミ、金券当りくじ付き)
・ベアーグミ (一口サイズのグミ、金券当りくじ付き)
・どんぐりガム (飴の中にガムが入っているお菓子、当るともう一個貰える)


こうして見ると随分くじものが多いことが分かります。当たるともう一個貰える系のお菓子は今でもありますが、10円~100円といった現金が当たるお菓子って今では目にする機会も減りましたね。少なくともコンビニやスーパーなどではもう全然見かけません。


しかし当時はそういう駄菓子に夢を見させて貰ったものです。小学校低学年の頃と言えば、100円は大金でしたからね。100円当たれば駄菓子屋で豪遊できるぐらいの金銭感覚でした。


それが今では宝くじや株で夢を見るような歳になってしまいました。もし今100円当たっても嬉しいよりも交換に行くのが面倒だな、と思ってしまう自分がいます。(ちなみに30円当たりました。どうしよう…。)


いやぁ、時間というのは残酷ですね。そんなことを想いながら駄菓子のチープな味を噛みしめつつ帰路についたのでした。


なんだか湿っぽくなってしまいましたが、大須は本当に良い場所です。世間で言われる「オタクの街」という側面もあるにはありますが決してそればかりではありません。


歴史ある街並みの中に、オタク文化・下町情緒・若者の店・老舗など、ありとあらゆる文化を取り入れた珍しい街です。商店街そのものが衰退の一途を辿っている現代で、大須のような老若男女楽しめる商店街というのは日本中探してもなかなか無いのではないしょうか。


皆さんも名古屋に来られる際にはぜひ足を運んでみてください。