学生時代、私はこう見えてもそこそこ読書が好きな学生でした。

文庫本を中心に、3~4日に1冊ぐらいの頻度でしょうか。本物の読書家からしてみればしょぼい読書量だということは分かっています。しかし、それでも「最近の若者は本を読まない」といった風潮からは(きっと)外れるぐらいには読んでいた方だったと自負しています。

そんな中途半端な読書家を気取っていた学生時代でしたが、「もっと早くに読んでおけば良かった」と思える本に何冊か出会えました。

最初にそう思わせてくれた本が、森見登見彦の『四畳半神話体系』でした。

アニメ化もされ、ガイドブックやフィルムコミックも出て、きっとそのうちドラマ化か映画化されるだろう森見登見彦氏の『四畳半神話体系』。今ではご存じの方も多いのではないでしょうか。

私がこの本に出会ったのは、大学3年生になったばかりの頃でした。

奇しくもこの本の主人公も大学3年生の学生で、後悔ばかりの学生生活を送っている人間でした。それが当時の自分と重なって、設定からして心を揺さぶられたものです。そして「ぴかぴかの大学1回生に戻って、大学生活をやり直したい」、と当時は本気で思ったものです。

そんな経験からして、この本は大学1年生、あるいは大学に入学する直前の学生さんに読んで欲しい、と思っています。そして大学生活も終わりに差し掛かる3年生・4年生になった頃にもう一度読み返して欲しい本です。

読み返した時、「大学生活をやり直したい」と思わなかったとしたら、それはきっと有意義なキャンパスライフを送ることができたのだと思います。そういう学生生活を送れた人の隣にはきっと黒髪の乙女やかけがえのない友人がいることでしょう。

次に衝撃を受けた作品に出合ったのはそれから2年後、大学4年生の2月という卒業を真近に控えた頃です。卒業直前に読んでとてつもない衝撃を受けた作品でした。

それが朝井リョウの『何者』です。

直木賞を受賞された若手有望作家さんなのでご存知の方も多いと思います。

私はこの本を内定が無いまま大学を卒業する直前に読んで見事に心をえぐられました。現代の「就職活動」を描いた作品ですが、就活に失敗した人間が読むと「まるで自分のことを書いているんじゃないか」とさえ思ってしまうほど心の底から恐怖を感じた作品でした。

この本も就活というテーマがまだまだ先にある、大学1年生の「就活って大変なんだなぁ」ぐらいに思える時期に読んで欲しい作品です。そして就活生になった時、一瞬でもこの本を思い出すのが良いかと思います。

ただし、“一瞬”です。一瞬でいいと思います。

それだけこの本は就活生に対して劇薬に近いものがあります。

「人間は後悔する生き物だ」と言いますが、こうして振り返ってみるとそれを切に感じます。いくつもの選択肢があり、「あの時、こうしておけば良かった」と過去を振り返っては後悔ばかりします。

しかし、もし別の選択肢を選んだとしても、きっと同じ結果になっていたかもしれない。今、そういう風に思えるようになったのもこうした本に出会えたからかもしれません。

最後に『四畳半神話体系』から心に残った言葉をご紹介します。
不毛と思われた日常はなんと豊穣な世界だったのか。ありもしないものばかり夢見て自分の足元さえ見えていなかったのだ。これは私が選んだ人生。私が望んだ結果である。

出典:森見登見彦「四畳半神話体系」 より一部引用
 
どちらも本当に良い本ですので、大学生活を有意義なものにしたいという学生さんには是非一度手に取って頂きたいと思います。